性的行為をしていないのに、性的興奮の絶頂が本人の意思と関係なく起こってしまうイクイク病という病気があります。
症状だけ聞くと命に関わるような病気ではないように思えてしまいますが、イクイク病は怖い病気であり、症状に悩んでいる人もいます。
まだ認知度もそれほど高くないので、イクイク病とはどのような病気であるか知っておきましょう。
イクイク病とは?
イクイク病はまだそれほど認知度が高くない病気です。
しかし、その症状に悩んでいる人はいます。
そのため、病気に対する知識の1つとして、イクイク病のことも知っておきましょう。
イクイク病の正式名称
イクイク病は通称であり、正式な病名は持続性性喚起症候群です。
この病気の認知度が低い理由の1つとして、初めて発症の報告があったのが2001年と比較的新しい病気のためです。
研究は進んでいますが、現在でもわからないことが多い病気でもあります。
イクイク病の症状
通称イクイク病の主な症状は性的行為をしていないにもかかわらず、性的興奮が絶頂を迎えてしまうことです。
通称名や症状だけ聞くと、命に関わるような病気には思えないでしょう。
しかし、わずか刺激や突然に性的興奮の絶頂を頻繁に迎えてしまうことで、日常生活に大きな支障をきたしてしまうことになります。
セックス依存症との違い
イクイク病は性的興奮が症状に関連しているため、セックス依存症と勘違いをする人もいます。
しかし、イクイク病では本人の意思と無関係に性的興奮の絶頂を迎えることに対して、セックス依存症は性的な興奮を求めた依存状態になるという違いがあります。
セックス依存症も自分で性的欲求がコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたすことがある怖い病気です。
イクイク病の原因
イクイク病は新しい病気であり、まだ詳しいことがわかっておらず、その原因もわかっていません。
現状として、骨盤の底にある筋肉である骨盤底筋が何らかの理由で異常な活発を起こすことが関連しているのではないかと言われています。
また、イクイク病の人の多くに仙骨神経障害と一致する症状が見られることから、何らかの関係性があるのではないかとも考えられています。
イクイク病の治療法
イクイク病は原因がわかっていないため、その治療法もまだわかっていません。
しかし、自らの刺激でオーガズムに達することで、その症状が少し緩和することがあるようです。
ただし、これは治療法ではなく、あくまでも症状を緩和させるだけのものであり、自己刺激を何度も繰り返すことに苦痛を感じるようになってしまうことも多いようです。
また、時間経過と伴なって、その効果も薄れていってしまいます。
イクイク病の緩和法
イクイク病の緩和法にはバイオフィードバック法という方法もあります。
バイオフィードバック法とは、無意識に起こってしまう身体の反応を機器によって心拍や筋肉の動きなどを測定することで、どのような条件のときにその反応が起こるのかを把握し、無意識から意識できる状態にすることです。
この方法によって、骨盤底筋が異常な活発を起こすタイミングを把握することで、症状のコントロールを試みます。
また、マインドフルネス認知療法との組み合わせが効果的と言われています。
マインドフルネス認知療法は意識を対象に集中させ、その瞬間に起こっていることを受け入れる心のトレーニングのようなものです。
瞑想をイメージすると理解しやすいでしょう。
イクイク病は恐ろしい病気
好きな人と一緒に性的興奮の絶頂を迎えることは幸せなことでしょう。
しかし、病気によって起こる場合は苦痛と感じることがあり、日常生活にも支障が出てしまいます。
では、具体的にどのようなことが苦痛と感じ、日常生活にはどのような支障が出てくるのでしょうか?
わずかな刺激で症状が出る
イクイク病になると、椅子に座ったり、歩いたりなど、日常生活内で起こるわずかな刺激によって症状が出るようになると言われています。
また、症状は突然襲ってくることが多く、どうしても我慢できない場合は周囲に人がいる状況でもこっそりと自己刺激を与えて症状を緩和している人もいるようです。
症状の長期間持続
イクイク病は通称で、正式な病名は持続性性喚起症候群です。
その病名には持続性という言葉が含まれています。
その病名通り、イクイク病に十数年も悩まされている人もいるようです。
性的興奮の絶頂を迎えてしまう頻度は人によって異なりますが、1日に30回以上も性的興奮が生じてしまうことがあり、頻度が高い人は数分ごとに症状が出てしまうこともあります。
また、性的興奮の持続時間も人によって異なり、中には性的興奮状態が数時間も続いてしまう人もいるようです。
痛みを感じる
イクイク病になると、その症状を緩和させるために自己刺激を体に与えますが、頻繁にデリケートな部分に刺激を与えることになるため、腫れや出血などして、痛みを感じるようになってしまいます。
痛みを感じることで自己刺激を与えることができなくなっても、症状による性的興奮は襲ってくるので、自己刺激を与えても、性的興奮を我慢することも、どちらを選んでも苦痛を感じることになってしまいます。
人間関係にも影響する
イクイク病になると、性的興奮状態に突然襲われてしまうので、物事に集中できなくなってしまいます。
また、性的興奮状態になっている姿を人に見られたくないと感じる人は多いでしょう。
そのため、イクイク病になったことで、人との接触を避け、家に引きこもってしまうことは多いようです。
亡くなった人もいる
イクイク病は身体的にも、精神的にも、その負担は大きいです。
また、原因や治療法がわかっていないため、ずっとその症状に耐えていかなければなりません。
その負担や先の見えない不安などから、自殺を選択した人もいるようです。
実際に、2012年にアメリカでイクイク病に悩んでいた女性が自殺したことがあります。
その女性はイクイク病があることで仕事ができないことや、病気への理解がされないことなどに悩んでいたことを地元紙のインタビューで答えていたそうです。
他にも発症事例はいくつかあります。
事例1:男性も発症する
イクイク病は女性が発症することが多いと言われていますが、男性が発症することもあります。
アメリカ人男性が発症した事例では、1日に100回も症状に襲われ、日常生活に大きな支障が出ています。
男性の場合は射精を伴うので、その対処もしなければなりません。
事例2:食べることがきっかけで症状が出る
イクイク病は身体にわずかな刺激を与えると症状が出てしまいます。
アメリカのコロラド州の女性は物を食べることがきっかけで症状が出るそうです。
初めて症状が出たのは10代のときで、アイスを食べているときに性的興奮が起こりました。
そのときには病気であることに本人も気がついていなかったようです。
また、高カロリーな物を食べるときほど症状が出やすい傾向にもあるようです。
事例3:日本にもイクイク病で悩む人がいる
日本でもイクイク病の人はいます。
20代でイクイク病を発症した女性は、通勤時に乗る電車の振動で性的興奮と絶頂を何度も繰り返し、辛い思いをしていたそうです。
また、椅子に座る姿勢を変えただけで絶頂してしまうこともあったようです。
意を決して、病院に相談しに行っても、原因もわからず、治療法もありませんでした。
病気の治療法がないことから、女性は結婚や出産を諦めたと語っています。
イクイク病の問題点
イクイク病はまだ原因や治療法など、詳しいことがわかっていません。
また、イクイク病には他にもいくつかの問題点があります。
それらの問題点も知っておきましょう。
症例が少ない
イクイク病は2001年に初めて報告された新しい病気であり、珍しい病気です。
そのため、まだ症例が少なく、症状や原因の正確な把握するために十分な統計もよく撮れていない状況となっています。
相談しにくい
イクイク病の症例が少ない原因は、新しくて珍しい病気であることだけが原因ではありません。
イクイク病はその症状から、他人に相談しにくいものとなっています。
そのため、イクイク病になったとしても、誰にも相談することができず、病院にも行けないという人もいると考えられています。
病院に行かないとイクイク病の症例として数えることができないので、どうしても症例数が増えにくくなってしまうのです。
認知と補助が不十分
イクイク病になれば、1日に何十回と性的興奮を生じることになり、仕事を続けることも困難となってしまいます。
イクイク病は病気であるため、仕事に支障が出るようであれば、職場や国がサポートすべきでしょう。
しかし、イクイク病がどのような病気であり、どれだけ本人が苦しんでいるのかなど、その認知度はまだそれほど高くありません。
そのため、職場の理解が得られなくて仕事を辞めなければいけなくなったり、国のサポートも確立されていないので支援を受けることもできないことから、生活が困難になってしまいます。
イクイク病のことを知っておこう
イクイク病は通称であり、正式には持続性性喚起症候群というしっかりとした病気です。
その症状は心身への負担が非常に大きく、悩んでいる人もいます。
そのため、イクイク病という病気がどのようなものであるか、知識として知っておくようにしましょう。