漫画「るろうに剣心」に登場する牙突。
その独特な構えはカッコ良く、リアルタイムで原作を読んでいた世代であれあ、子ども時代に傘や木の枝などを剣に見立てて真似した人も多いでしょう。
また、構えから放たれる驚異的な威力も魅力的でした。
しかし、牙突という構えは現実にあるものなのでしょうか?
あるとすれば、作中で見られるような驚異的な威力は出るのでしょうか?
牙突ってどんな技?
牙突とは、漫画「るろうに剣心」に登場する剣技の1つです。
主要キャラクターが使っていて、独特で印象的な構えをするため、知っている人も多いでしょう。
しかし、牙突を深堀りしてみると、意外と知らない情報も出てきます。
では、その牙突とはどのような技だったのでしょうか?
「斎藤一」の剣技
牙突を使うのは漫画「るろうに剣心」に登場する「斎藤一」です。
新撰組の三番隊組長で、維新後は「藤田五郎」と名前を変えて警察官をしています。
主人公の「緋村剣心」とは共闘することもありますが、基本ポジションは宿敵でもありました。
斎藤一は「悪・即・斬」を自らの絶対的な信念としていて、牙突はその信念を体現するかのような一撃必殺の技です。
ただし、もし一撃で相手を仕留められなかった場合は、カウンターをもらう危険性が高いです。
どんな技?
牙突 構えからもうカッコイイ😍
※画像は原作のやつです※ pic.twitter.com/urQAMo4Gh2— もちもち。 (@Motchy_0623) September 2, 2022
牙突は左手に肘を引いて刀を持ち、腰を落として刀先を相手に向けます。
右手は刃先側に軽く添えるように伸ばします。
この構えから突進して、相手を刀で貫く「左片手一本突き」です。
斎藤一は「小細工をするより、確実に一撃で相手を仕留めた方が良い」という考えから、牙突を極限まで極めています。
その威力は驚異的で、並の刀では負荷に耐えられず折れたり、人の体を真っ二つにしたり、頑丈な壁や門まで破壊するほどでした。
勘違いされやすいポイント
牙突は左片で刀を持ちます。
意外と右手で刀を持っていると勘違いしている人は多いでしょう。
また、斎藤一が左手で刀を持つことから、左利きと思い込んでいる人もいるようです。
しかし、剣術や剣道では左手に力の重心を置くので、牙突でも左手で突く構えになっていると考えられます。
斎藤一の利き腕に関する説明は作中にはありませんが、日常シーンでは右手を使っていることが多いです。
もう1つ牙突で勘違いされやすいポイントは刀の角度です。
牙突は刀を縦に構えていると思っている人もいますが、実は刀は水平に構えられています。
刀を水平にした突きを平刺突(ひらつき)と言います。
刀を水平にする理由は肋骨の間を突き刺すためです。
牙突の種類
牙突にはいくつかの型があり、斎藤一はそれらの型を戦いによって使い分けていました。
その数は意外と多いです。
では、牙突の種類にはどのようなものがあるのでしょうか?
壱式
壱式はスタンダードな型で、相手に向かって直進して刀を突きます。
牙突のイメージそのものの型であり、作中でも多く登場した型です。
ちなみに、牙突は刀だけでなく拳で放つこともできます。
弐式
弐式では刃先を地面に向けるように傾けて構えます。
刀を傾けることで突き下ろすような突きができ、壱式よりも威力が上がります。
弐式が牙突としての本来の構えであり、「正真正銘の牙突」です。
ただし、作中で命中することが1度もなかったため、正確な威力はわかりません。
参式
参式は斜め上方向に突きを放つ対空技です。
作中では、緋村剣心が高く飛び上がって落下重力を利用して刀を振り下ろす威力を高める龍槌閃を迎撃するために使われました。
また、その際には龍槌閃の迎撃に成功しています。
四式
四式は2017年からにジャンプスクエアで連載されている「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-」で登場した牙突です。
そのため、1994年から少年ジャンプで連載していた方の「るろうに剣心」では登場していません。
ちなみに、四式の読み方は「よんしき」ではなく「ししき」です。
四式の特徴は、他の型のように半身の構えではなく、胸の中心で刀を構えます。
構えを変えて初動を最小限にした最速で最短の牙突です。
ただし、速さを優先しているので、四式には威力が他の牙突と比べると劣るという特徴もあります。
零式
零式は上半身のバネだけで放つ牙突です。
牙突は相手に向かって突進する勢いも利用するので、距離を詰められると威力が発揮できないデメリットがありました。
しかし、零式で突進を必要としないので、ゼロ距離でも使うことができます。
突進の勢いがないので距離を詰められた際のその場しのぎの技に思えますが、零式は人の体を真っ二つにする威力があります。
OVA版で強大な敵である志々雄真実に向かって放たれた零式は、志々雄を倒すことはできませんでしたが、緋村剣心との対決時に影響を与えました。
斎藤一の奥の手であり、緋村剣心との決着をつけるための秘策として位置付けらている型でもあります。
牙突は再現できるのか?
牙突は驚異的な威力がある技です。
特に、四式の速さや零式の破壊力などは尋常ではありません。
牙突は本当にそのような威力が出る技なのでしょうか?
また、再現はできるのでしょうか?
構えについて
牙突の構えは難しいものではないので、誰にでも真似できるでしょう。
ただし、零式~四式まで型があり、それぞれ微妙に構えが異なるので間違えないように注意が必要です。
特に、刀は左手で持つことや、刀を水平にするなどのポイントには注意しましょう。
威力について
牙突は勢いをつけて相手を突くので、現実でも相当な威力が期待できるでしょう。
ただし、作中では相手を吹き飛ばし、なおかつ吹き飛ばされた人が土壁を突き破っています。
そのため、作中での牙突の威力はかなりのスピードを出した車と衝突したくらいの衝撃があると考えられます。
さすがに左手1本でそれだけの威力を出すことはできないでしょう。
実写映画での再現
「るろうに剣心」は実写映画化されていて、牙突を使う斎藤一役は江口洋介さんが演じました。
実写映画では牙突の構えが登場しますが、その構えが牙突とは明言されていません。
しかし、原作を知っている人には伝わるようになっています。
「るろうに剣心」の実写映画では、漫画表現よりもリアル感を重視されているので、牙突に限らず基本的に技名が出ることはありません。
牙突は実在する構えなのか?
漫画の設定にはよくモデルがあります。
そのため、牙突にもモデルがあってもおかしくはないでしょう。
では、牙突には元ネタとなるような構えがあるのでしょうか?
牙突には元ネタがあった
牙突自体は作者の創作のようです。
しかし、その構えは片手平突きに似ています。
また、資料が少なくて詳しいことはわかっていませんが、実際の斎藤一も突きが得意だったと言われています。
そのため、牙突の元ネタは片手平突きと考察するファンは多いようです。
考案者は斉藤一ではない
実際の斎藤一も突きが得意であったと言われていますが、片手平突きを考案したのは斎藤一ではありません。
片手平突きを考案したのは土方歳三です。
片手平突きは刀を水平にすることで肋骨の隙間を刺し通すことができ、もし避けられても水平切りによって対応できる切り方となっています。
斉藤一の突きは実際にすごかった
斉藤一の突きには逸話があります。
昭和の剣豪と呼ばれる山本忠次郎は若い頃、空き缶を吊るして突きの練習をしていたそうです。
そこに通りかかった老人は山本忠次郎から竹刀を借りて、突きの手本を見せます。
その突きは鋭く、空き缶には穴が空いたそうです。
その見事な突きを披露した老人が斎藤一でした。
牙突はかっこいい
牙突は構えが独特であり、かっこいいです。
そのため、子どものときに傘や木の枝などで真似した人も多いでしょう。
ただし、本当に人を突くことはやめましょう。
漫画のように壁を突き破るほどの威力は出ませんが、他人に怪我をさせる威力はあります。
あくまでも漫画の世界なので、かっこいい斎藤一を見るだけで満足しておきましょう。