人は生きている限り、いつかは死んでしまうものです。
死に方は人それぞれですが、中でも焼死による痛みは想像を絶すると言われています。
実際に体験することは難しいですが、どのような痛みなのでしょうか?
そこで、焼死痛みや焼死遺体の状態などについて調べました。
焼死痛みとはどのようなものか?
焼死した遺体はどんな状態なのか?
生き延びた場合の後遺症は?
実際の証言や事件を交えながら紹介していきます。
【最も苦しい】焼死の痛みとは?
最も苦しいといわれる焼死の痛みが始まると、どうなるのでしょうか?
多くの場合は低温で体が焼かれるため、長時間「熱い」「痛い」の焼死の痛みを耐えなければなりません。
もし焼死の痛みを乗り越えて一命を取り留めても、大火傷を負っていると激しい痛みに襲われます。
また、焼死の痛みを乗り越えても多くの場合は処置によって意識を取り戻すので「意識があるまま激痛に耐えて治療する」ことになります。
叫び声が止まらないほどの苦痛!
焼死の痛みが始まると、まず「熱い」「痛い」に襲われます。
しかも焼死の痛みの最初のうちは意識を失うことがないため、意識があるまま「熱い」「痛い」の焼死痛みに耐えなければなりません。
焼死の痛みや熱い状態に耐えきれず、叫び声をあげる人もいます。
イスラム国に拘束された後、火あぶりで処刑された人の動画では、焼死の痛みに苦しむ様子が映っていました。
動画の始めでは、男性は熱い火が近づいてくることに怯えて叫び声をあげており、見るに堪えない動画です。
酸欠の苦しみも!
焼死の痛みだけでなく、一酸化炭素や二酸化炭素、有毒ガスでの苦しみも恐怖の1つです。
総務省消防庁の公式サイトを見ると、平成30年に火災で死亡したうち、一酸化炭素中毒や窒息で亡くなった人は約31%を占めています。
一酸化炭素は無色、無臭のため気づきにくいです。
一酸化炭素中毒の症状は頭痛やめまいから始まり、意識を失った後亡くなってしまいます。
死亡までの時間ですが、濃度が高い場合は1~3分で死亡してしまいます。
2021年に起こった「大阪北新地の心療内科クリニック放火事件」では、火事の通報から25分後にはほとんどの火が消し止められましたが、最終的に犯人を含む26人が死亡しました。
この事件で亡くなった人の多くは、一酸化炭素中毒が死因のようです。
建物の構造や状況によっては、25分という短時間でも死に至ります。
生き延びても地獄の痛みが続く!
生き延びても焼死の痛みは付きまといます。
痛みだけでなく発熱も起こし、何度も皮膚の移植手術を受けなければいけません。
2013年に起こった福知山花火大会事故で体に大火傷を負った男の子は、火傷した皮膚を剥がす治療で激痛のあまり叫び声をあげたそうです。
また、火傷が酷い場合は傷跡部分が盛り上がる「ケロイド」になる可能性もあります。
症状は痛みやかゆみですが、顔に起こった場合、治療をしても治らず唇がなくなった人もいるようです。
焼死遺体はどうなる?
焼死の痛みが過ぎ、遺体となってしまった場合はどうなるのでしょうか?
遺体が焼かれてしまった場合は、非常に悲惨な姿となります。
・筋肉部が見える
・残った体の部分が赤く腫れる
・さらに酷い場合は黒く焦げる
身元が分からないほど焼ける
焼死遺体でひどい場合、遺体はどうなるのでしょうか?
火に焼かれた状態が酷い場合、身元がわからないほど恐ろしい姿になります。
特に顔が黒く焼けると親族でも身元確認が難しくなり、そうなった場合は歯型やDNAで身元を特定するようです。
炭化した四股がちぎれる
焼死体の中には焼けすぎて炭のようになり、四股がちぎれることもあります。
長崎で被爆した女性は「亡くなった主人は顔は少しわかったものの、手足部分などは炭化してちぎれていた」と証言しています。
このことから、他の部分よりも手足が焼けやすく炭化しやすいことがわかりますね。
喉がススまみれに!
焼死した死体の喉がススまみれになったケースもあります。
海外のある男性の母親は、たばこの不始末による火災で亡くなりました。
男性は身元確認前に「遺体は口の中も含めてススに覆われていて損傷が激しい」と言われたそうです。
焼死の死因は酸欠!
焼死の死因は酸欠によるものもあります。
先ほど「酸欠の苦しみも!」の項目でお話しましたが、一酸化炭素や二酸化炭素、有毒ガスなどで酸欠になって亡くなる人は、火災被害者全体の約31%です。(平成30年に起こった火災の場合)
ちなみに、一酸化炭素の濃度が濃いと1~3分で死亡します。
それまでに頭痛やめまい、吐き気を起こし、最後には気を失いそのまま死んでしまいます。
焼死の痛みに恐れながら息苦しくなり、頭痛などに襲われたまま気を失うのも恐怖ですね。
【実話】焼死体の火葬とは?
焼死体はどのようにして火葬されるのでしょうか?
焼死の場合、遺体があまり残っていないこともあります。
特に、臓器や脂肪などが焼けてしまっている場合は遺体の重さが非常に軽くなります。
そして、通常の遺体は火葬までに2時間ほどかかりますが、焼死の場合はすでに遺体が焼けていることもあり、通常より短い火葬時間で終わることもあるようです。
しかし、余りにも火葬時間が短いと遺族が取り乱してしまう可能性があるため、通常通りの火葬時間を伝える葬儀会社もあります。
さらに「焼死した人をまた火葬で焼く必要はあるのか」と考える遺族もいるようです。
焼死の痛みを経験をした故人をさらに火に入れる、そのような行為に抵抗を示すのは無理もありません。
焼死した故人の遺族は、そのような葛藤を抱えるのです。
京アニ事件も!悲惨な焼死事件3選
日本でも有名な焼死事件がいくつか存在します。
その中でも衝撃的な事件を3つ紹介します。
死者が多い「京アニ放火事件」
ドラム缶の中で生きたまま焼死した「ドラム缶女性焼殺事件」
見分けがつかないほど遺体が炭化した「光明寺村女工焼死事件」
中でも、京アニ事件は2019年に起こった記憶に新しい事件です。
それぞれの事件の詳細をお話しします。
悲惨な焼死事件①京アニ放火事件
2019年7月18日、犯人である青葉真司が京都にある「京都アニメーション第1スタジオ」にガソリンをまき、ライターで火をつけました。
京アニのスタジオは全焼し、社員36名が死亡します。
亡くなった人のうち28人は一酸化炭素中毒が原因でしたが、火によって焼かれ遺体が黒焦げになった人もいます。
中には遺体のほとんどが焼かれて体の一部しか見つからなかったという人もいました。
そして、生き延びた被害者女性の1人は足を切断しなければいけないほどの重症でした。
青葉真司も重傷で、身体の93%が火傷の中でも最もレベルが高いⅢ度熱傷でした。
Ⅲ度熱傷になると、痛みはなく肌の色は黒(炭化)や白になります。
彼が病院に搬送された時点では、命がもつのはあと3日と予想され、死亡率は95%の状態でした。
しかし、医者は彼の身体に残された8㎝四方の皮膚を培養して移植し、命が助かりました。
悲惨な焼死事件②ドラム缶女性焼殺事件
2000年4月4日、愛知県内の路上で仕事の帰りであった深谷洋子さんとその夫、実妹の高橋勝子さんの3人が、男性6人に襲われます。
深谷洋子さんの夫は借金をしており、犯人グループはその取り立て代行でした。
その取り立てが難航し、深谷洋子さんの夫の態度が悪かったことから殺害を計画したそうです。
襲われた際に深谷洋子さんの夫は怪我をしながらも逃走に成功します。
しかし、深谷洋子さんと高橋勝子さんは犯人グループに車で連れ去られてしましました。
その後、愛知県内の山中に逃げた犯人グループは、被害者である2人を拘束したままドラム缶に詰め込みました。
叫び声をあげる2人にガソリンをかけて蓋をし、重りを乗せたあと火を付けます。
遺体は炭化し、残った部分はチェーンソーで切断、金づちで粉砕して周囲に撒いたそうです。
犯人グループは数日のうちに全員逮捕され、遺体の一部も発見されました。
悲惨な焼死事件③光明寺村女工焼死事件
1900年1月23日、愛知県にある光明寺村本郷の織物工場で火災が発生します。
工場の2階には女工49名が寄宿をしていて、そのうち31名が逃げ切れずに亡くなりました。
寄宿をしていた2階には女工が逃げられないように鍵がされており、窓も鉄格子が付けられていたことで逃げ場を失っていました。
火災は1階で起こったため、火が2階に上がってきたときにはすでに手遅れでした。
遺体のほとんどは炭化や白骨化しており、それが誰であるか見分けが付かなかったといいます。
焼死以外の苦しい死に方5選
焼死以外の死に方はいくつか存在しますが、中でも苦しいと言われ、医者が恐れる死に方を5つ紹介します。
・間質性肺炎
・肺気腫
・くも膜下出血
・心筋梗塞
痛みが永遠と続く?がん
日本では2人のうち1人はがんになると言われており、2024年に死亡した人の総数の24%を占める死因です。
がんだけでも20つの種類がありますが、中でも苦しいと言われるのはすい臓がんとがんの骨転移です。
すい臓がんとは?
主にお腹と背中に激痛を感じますが、すい臓の周りには太い神経があるので、そこにがんが侵入すると激痛を伴います。
また、すい臓がんの5年生存率は8~9%で、がんの中でも死亡率が高いです。
そのため、医者の間で「がんの王様」と呼ばれています。
がんの骨転移とは?
がんが骨に転移すると、凄まじい痛みが起こります。
骨の周りには多くの神経があり、そこへがんが侵入すると耐え難い痛みになるのです。
がんが大きくなればなるほど痛みは強くなり、身体を動かすたびに痛みが伴います。
末期の場合、痛みを緩和するモルヒネはあまり効きません。
あまりの痛さに耐えきれず「死にたい」と思う人さえいるのが、がんの骨転移です。
呼吸がとにかく苦しい?肺の炎症
肺の炎症が起こると、呼吸が苦しくなったり
そんな肺の炎症の中でも、呼吸が苦しく辛いと言われるのが間質性肺炎と肺気腫です。
間質性肺炎
間質性肺炎は、肺炎とは異なる病気です。
肺炎は肺の中が病気に侵されることを指しますが、間質性肺炎は肺自体が病気に侵されることを指します。
原因はさまざまで、薬やカビ、アスベストなどですが、他の病気が原因となることもあります。
発症すると軽い息切れや咳から始まりますが、悪化すると酸素投与が必要となり、肺がんを併発することもあるのです。
また、急性増悪という状態になると、数日〜1ヶ月の短期間で症状が悪化します。
5年生存率は36%で、急性の場合は3ヶ月以内に死亡する恐ろしい病気です。
肺気腫
肺気腫の原因は、長期間にわたる喫煙です。
症状は、咳、たん、息切れ、息苦しさなどですが、動くとさらに息苦しさが増します。
「夜中にせき込みが激しくなり、今までにない鈍痛を感じた」という患者もいました。
症状が深刻になると、安静状態でも息苦しさが続きます。
血中の酸素が不足することもあり、こうなると酸素投与も必要です。
歩く、着替える、などの普通の動作1つ1つに息苦しさを感じてしまうため、日常生活に大きく支障をきたす恐ろしい病気です。
突然の激痛?血管の異常
血管に異常が起こると、突然の激痛が襲います。
中でも、何の前触れもなく突然発症し、そのまま死を迎えてしまう可能性があるのが「くも膜下出血」と「心筋梗塞」です。
くも膜下出血…脳のくも膜という部分にある血管が破裂して起こる病気
心筋梗塞…血栓ができた血管が詰まり、心筋(心臓を動かす部分)に血液が届かなくなって壊死を起こす病気
くも膜下出血は血管が破裂しますが、心筋梗塞は血管が詰まることで起こります。
それぞれの病気を詳しく見てみましょう。
くも膜下出血
くも膜下出血は、くも膜という部分にある太い血管が破裂したことによって出血を起こしてしまうことで起こる病気です。
前兆としては、頭痛、めまい、吐き気、意識の低下などですが、この症状は1度落ち着きます。
しかし、落ち着いた後にくも膜下出血を起こします。
くも膜下出血を起こすと激しい頭痛に襲われ、その痛みは「バットや金づちで殴られているよう」と言われるほどです。
くも膜下出血を起こすと約40%は死亡し、約30%は後遺症を負ってしまいます。
そして、後遺症にはこのようなものがあります。
・運動障害(身体の一部が動かない)
・目の障害(目が見えにくくなるなど)
・ろれつが回らない
・食べ物が飲み込みにくい
・記憶障害
・言語障害
・認知障害
・発作
・社会復帰の困難
心筋梗塞
【最も苦しい】焼死の痛みとは?苦しい死に方5選も紹介!まとめ
焼死の痛みは「意識のあるまま火に焼かれると、耐え切れず叫び声を上げる人もいる」ほど悲惨なものです。
火災で亡くなる人のおよそ4割は一酸化炭素中毒などが原因ですが、その他の多くは火に焼かれて亡くなります。
身元が判別できないほど黒く焦げ、炭化や白骨化してしまったら、最後に故人の姿を見ることはできません。
残された遺族はやり切れぬ思いになるでしょう。
また、火災から一命を取り留めた人の中には「足を切断」という結果になった人もいました。
焼死の痛みや後遺症は、想像できないほど辛く苦しいものです。
そういった事件に巻き込まれないように行動をするのは難しいですが、火災に巻き込まれた際どのような行動をとるべきか、事前に考えておくと良いかもしれません。