みなさんは「ドグラマグラ」という小説をご存じでしょうか?
ドグラマグラは日本探偵小説三大奇書の一つに数えられ、読んだら気が狂うといういわくつきの小説です。
読むだけで気が狂うなんてことが実際に起こり得るのか非常に気になりますね。
今回のは、「ドグラマグラを読んだら気が狂う」という噂の真相について調査し、気持ち悪いと言われる理由についても紹介していきます!
果たしてドグラマグラを読むことによって気が狂うという話は本当なのでしょうか?
ドグラマグラとは?
『ドグラマグラ』とは夢野久作によって10年もの歳月をかけて書かれた小説です。
夢野久作は10年もの間にこの作品を書いては書き直しを何度も繰り返し、やっとの思いで書き上げたとの事で、まさに夢野久作が命を懸けた作品といえるでしょう。
しかし、この『ドグラマグラ』には読むと気が狂うという不吉な噂が存在します。
まずはドグラマグラが一体どういった話なのかを紹介します。
ドグラマグラのあらすじ
ドグラマグラは物語と現実の境界線が曖昧なメタフィクション的な作品ですので、ストーリーはあるようにも無いようにも捉えることができます。
中には本作を要約不可能な作品だと評する人もいます。
それを踏まえた上であらすじを見ていきましょう。
「私」は記憶を失っており、自分が誰なのかも理解できなかった。
隣の病室からは「お兄様」と自分に泣きすがる女の声が聞こえる。
ひとり途方に暮れる「私」だったが、そこに医師である若林鏡太郎教授が現れる。
若林教授はここが九州の大学病院であること、隣の病室で泣いているのは呉一郎(くれ・いちろう)なる人物の従妹で婚約者のモヨ子だということを教える。
さらに教授によると、呉一郎は三つの殺人事件を起こし、「私」は事件の関係者だと言う。
若林教授は「私」が記憶を取り戻すために、様々な刺激を「私」に与えるものの、「私」の記憶は戻らない。
それどころか「私」は死んだ正木教授なる人物の書いた遺稿を読み、次第に自分が殺人犯・呉一郎そのひとなのではないかと考え始める。やがて「私」の前に死んだはずの正木教授が現れ、狂ったような世界観で物語は進んでいく。
作者の夢野久作とは?
夢野久作は本作ドグラマグラをはじめとしたホラーや怪奇色・幻想色の強い作品を得意とした小説家です。
「夢野久作」というペンネームは作品を読んだ夢野久作の父が「夢の久作の書いたごたる小説じゃねー」と評したことがきっかけでした。
「夢の久作」とは昔の福岡地方の方言で「夢想家、夢ばかり見る人」という意味のようです。
夢野久作は1936年に脳出血を起こし、47歳という若さでこの世を去りました。
ドグラマグラは読んだら気が狂うと言われているのはなぜ?
ドグラマグラは一種の探偵小説であることは間違いないですが、その内容は非常に難解なものです。
難解な小説はいくらでも存在する中で、ドグラマグラを読むと気が狂うと言われているのはなぜなのでしょうか?
調査の結果、ドグラマグラが気が狂うと言われる所以は膨大かつ難解な物語とちりばめられた数多くの謎、意味不明な表現が原因のようです。
ひとつずつ解説していきましょう!
執筆に10年以上費やした超大作
夢野久作は本作を執筆するために10年もの歳月をかけました。
ドグラマグラは話の長さという意味でも、かなり重厚な超大作であるといえます。
文庫本でも上下巻に別れており、総ページ数は700を超えるほどの長編小説で読み切ること自体が大変な小説です。
文章を読むのが苦手な人であれば、気が狂いかねない文章量だと思われます!
書簡体形式で読むのがしんどい!
書簡体形式というのは簡単に言うと、手紙の文をそのまま地の文に書いているかのような形式を指します。
ドグラマグラは小説の約半分が書簡体形式で書かれており、読みにくいことこの上ない小説でもあるのです。
読みにくいと感じながら読んでいるうちに訳が分からなくなって、気が狂ってしまいそうになるという人がいたかも知れません。
チャカポコ地獄で精神崩壊!?
ドグラマグラの作中の中盤に「キチガイ地獄外道祭文」というものが登場します。
名前からやばい雰囲気が伝わってくると思いますが、問題はその内容なのです。
文の中に「チャカポコ」という言葉が230回ひたすら繰り返される部分、俗に言うスチャラカチャカポコゾーンというものが存在するのです!
何度も繰り返されるチャカポコという言葉に頭がおかしくなり、最後には気が狂うような感覚に陥る事があるかも知れません。
自分の脳を信用できなくなる
ドグラマグラでは作中で「脳を信用しすぎることは危険である」という説が登場します。
これは「脳に絶対的な信頼を置くと、脳が作り出す虚構に支配されてしまうという警鐘」を意味しています。
簡単に言うと、「頭で考えていることが絶対に正しいと信頼してしまうと、頭が作り出した偽りの事実に気づくことができず誤った考えをしてしまう」ということです。
脳は考える器官なのに、「脳が正しいかどうか疑うようにするべきだ」と言われると、なんだか頭がこんがらがってきますよね。
気が狂う以外の感想もある?
ドグラマグラについての感想は、「頭がおかしくなりそう」「難解な小説で一度読んだだけでは理解できない」といった、物語の難解さと重厚さに圧倒されるようなものが多いです。
しかし、その一方で「ヤンデレな妹との関係を描いた物語だ」「単なる不可思議なミステリー小説である」「中二病っぽい内容だ」というようなマイルドな感想もありました。
ドグラマグラは読んだら気が狂う作品といわれながらも、ライトな層にも読まれている小説のようです。
ドグラマグラを読んで狂う動画が話題
調査していると、「ドグラマグラを読んで狂う動画」が話題になっているという情報をキャッチしました。
この動画は当初はTikTokで公開されていたものの、動画の内容が不適切だったため、アカウントが凍結となった動画です。
動画の内容は「気が狂うと有名なドグラマグラを、精神を安定させるとされるハーブティーを飲みながら読んだらどうなるのか検証!」というものでした。
動画の内容をここで簡単に説明します。
ハーブティーを飲みながら上巻を読み切り、女性は精神に異常をきたしてはいないことを報告し、下巻を手にします。
下巻を開いた女性は、突如本のページを破いて口に入れ始めます。
最後に残ったハーブティーを頭にかけ、動画は終了します。
ドグラマグラのやばい真相を考察!
非常に難解な探偵小説・ドグラマグラですが、その真相とはどのようなものなのでしょうか。
ここからは長編の小説を読むのが辛い・面倒だという人のために、ドグラマグラについて考察してみようと思います。
なおドグラマグラはメタフィクション的な作品であり、物語とそうでない部分の境界線が曖昧な作品です。
ここで書いた考察が、作者の夢野久作が考えていた真実なのかはわかりませんので、あしからず。
多分にネタバレを含みますので、これから読もうと考えている方は見ないことをオススメします!
主人公の正体とは?
主人公の正体は隣の病室の美少女が「お兄様」と呼んでいるという点と、死んだ正木教授が残した遺稿から考えて、呉一郎であると考えるのが自然です。
しかし、その後に現れた正木教授に連れられ向かった「解放治療場」なる場所で「私」は、「私」そっくりの呉一郎を目撃します。
物語で二人の呉一郎が登場するのです。
正木教授はこれを「離魂病」などと言い、より物語を訳の分からないものにしています。
「キチガイ地獄外道祭文」とは?
スチャラカチャカポコで有名な「キチガイ地獄外道祭文」は、正木教授が作ったものです。
「祭文」とは語ったり歌ったりするお祈りの一種で、「キチガイ地獄外道祭文」も木魚のリズム(スチャラカチャカポコは木魚の音を意味する擬音です)で歌われます。
実は「キチガイ地獄外道祭文」の内容は精神病者虐待の事実と、治療のデタラメさを暴露するものなのです。
このことから「キチガイ地獄外道祭文」は精神病者に対する偏見と迫害に対する警鐘であり、正木教授の攻撃的な正義感が見て取れるものとなっています。
脳髄論、胎児の夢の意味とは?
もう一つ物語のキーとなるものが存在します。
それは正木教授が書いた論文です。
ドグラマグラの作中に正木教授が書いた2つの論文「脳髄論」と「胎児の夢」というものが登場します。
この論文は作者の夢野久作によって書かれたもので架空のものですが、実はあながちデタラメな内容とはいえないものなのです。
脳髄論
「脳髄論」は「脳髄はものを考えるところにあらず」という根底の元に成り立っている理論です。
では「脳でなければどこでものを考えているのか」という問いに、正木教授は「すべての細胞」と答えます。
脳ではなく全身の細胞が考えていて、感情を持っているというのが脳髄論の内容となっています。
実はこの理論はあながち的外れとは言えないもので、21世紀の科学に照らし合わせてみても脳は刺激を筋肉に伝達する装置に過ぎないという仮説が存在するようです!
奇想天外な内容ではありますが、デタラメとは言い切れないリアリティがあります。
胎児の夢
「胎児の夢」とは胎児が母親のお腹の中で夢を見ているのではないかという仮説です。
より詳しく説明すると「原初の生物が人間に至るまでの進化の過程をやり直すように夢を見ているのではないか」という仮説です。
これは今では科学理論としては否定されていますが、胎児の発生過程は原初生物が人間へと進化を遂げているようにみえるということから考え出された理論のようです。
たしかに胎児が成長する過程は魚のような形からトカゲや獣のような姿を経て、人の形になるような印象がありますよね!
ドグラマグラだけじゃない!三大奇書を紹介!
難解で複雑怪奇な小説はドグラマグラだけではありません!
日本には日本探偵小説三大奇書というものが存在します。
三大奇書の三冊はいずれもが難解であったり、通常の推理小説とは異なった点を持っています。
ここではその三大小説の残りの二つをご紹介しましょう!
黒死館殺人事件
「黒死館殺人事件」は内容は一般的なミステリー小説なのですが、その異常なまでの読みにくさゆえに奇書と呼ばれています。
簡単に言うと、本文の1ページ目から何と書いてあるかわからないのです。
読めない漢字と専門用語のオンパレードの奇書となっています。
作者の小栗虫太郎は「本作を書いたときは悪魔に取り憑かれていた」と発言しています。
虚無への供物
「虚無への供物」は推理小説でありながら推理小説であることを拒否するアンチミステリーの小説です。
本作は他二つの奇書とは異なって読みにくさのようなものは存在しませんが、その結末には「あっ」と言わされること間違いなしの内容となっています。
気になる方はどうぞ読んでみてください。
ドグラマグラは実は無料で読める?
ドグラマグラは現在、電子書籍という形でなんと無料で読むことができます!
これまでの調査結果でドグラマグラがいかに難解で怪奇な小説であるかは分かっていただけたと思いますが、記事に目を通すのと実際に読んでみるのは全く違うことです!
せっかく無料で読むことができるのですから、是非とも入手して読んで見ることをオススメします!
青空文庫で読める
青空文庫は著作権が消失した作品、もしくは著者から許諾を得た作品のテキストを公開している電子図書館です。
気になっていた作品ももしかしたら無料で公開されているかも知れませんね!
ドグラマグラは青空文庫で無料で読むことができます!
Kindleでも売っている
ドグラマグラはAmazon Kindleでも販売しています。
販売しているといっても料金は0円です!
AmazonアカウントとKindleアプリを持っている方は上のリンクから購入して、ぜひ読んでみてください!
ドグラマグラを読んだら気が狂うは言い過ぎ!しかし難解で複雑怪奇な小説だった!
調査の結果「ドグラマグラは読んだ人の気が狂う小説」という噂はさすがに言い過ぎでした!
しかしその内容は難解で、一般的な推理小説とは全く異なった複雑怪奇な小説であることがわかりました!
ドグラマグラは現在、電子書籍版であれば無料で読むことができるようになっています。
「読了した者は気が狂う」と噂のドグラマグラですが、みなさんも恐れることなく一度読んでみてはいかがでしょうか?