ネットでは人気投票の企画が行われることがあり、世間の注目を集めることがあります。
多くの人が投票をするので、少しの人数を集めてグループを作っても票の操作をすることはできません。
しかし、田代砲を使えばやり方によってはわずかな人数でも票の操作を行うことが可能です。
では、その田代砲とはどのようなものなのでしょうか?
また、田代砲が実際に投票の結果を変えてしまったことはあるのでしょうか?
話題を操作してしまう田代砲とは?
ネット上では映画やアニメのプロモーションなどで、人気投票の企画が行なわれている場面を見かけることがあります。
ネット上での投票企画は非常に多くの人が参加するため、わずかな人数が集まっても票の操作をすることはできません。
しかし、田代砲を使えばやり方によっては、わずかな人数でも票の操作が可能となってしまいます。
では、投票企画の結果に影響を与えることができる田代砲とは、一体どのようなものなのでしょうか?
田代砲とは?
田代砲とは投票を連続で行うスクリプトのことです。
本来であれば1人1票しか投票できない仕組みとなっていても、田代砲を使うことで1人で何度も投票することができたり、自動で投票し続けたりなどすることができます。
そのため、複数人で、何日もかけて、投票し続ければ、投票結果に大きな影響を与えることが可能となります。
田代砲の意味は変わってきている?
田代砲はもともとDoS攻撃用のスクリプトでした。
DoS攻撃とは、大量のデータを送り込むことでシステムに負荷をかけて正常な動作をできなくしてしまうことです。
厳密には異なりますが、人気サイトにアクセスが集中したことでサーバーが負荷に耐えきれなくなってアクセスできなくなる状況を任意に作り出すことができるイメージに近いでしょう。
また、田代砲を使うような難しいやり方でなくても、簡単なDoS攻撃のやり方はあります。
有名なのはF5キーを連打してサイトの再読み込みを繰り返すこともサーバーに負荷をかけることでしょう。
このやり方はF5アタックと呼ばれています。
これら大量のデータを繰り返し送り続けるという仕組みを、DoS攻撃目的ではなく人気投票企画に票を入れ続けるために作られたものが田代砲です。
なぜ田代砲と呼ぶのか?
アメリカの有名ニュース誌「TIME」には、その年の顔となる人を投票によって決める「PERSON OF THE YEAR」が恒例企画があります。
その2001年版で、なぜか日本のタレントである田代まさしさんが1位になりました。
これは純粋な投票結果ではなく、ネット掲示板の2ちゃんねるで「投票で田代まさしを1位にしよう」と盛り上がり、連続投票をできるツールが作成されたことで票が押し上げられた結果でした。
2ちゃんねらーが田代まさしさんを取り上げた理由は、2000年に入ってから盗撮や覗きなどで何かと話題になっていたためです。
つまり、アメリカのニュース誌の企画の結果を日本のネット掲示板ユーザーが操作してしまったということです。
当然、投票結果は不正と判断されましたが、田代まさしさんが投票で1位となったことで世間からは「面白い」との反応も返ってきました。
また、このときに使われたツールが田代砲と呼ばれ、田代まさしさんを投票で1位へ押し上げるために盛り上がったことは田代祭りと呼ばれています。
それ以降、ネット掲示板では投票企画の票操作をすることを「○○祭り」と呼ぶようになります。
改良型もある?
田代砲は「祭り」が開催されるごとに改良が進められ、徐々に威力が上がっていきました。
改良版には多連装田代砲やレーザービーム田代砲、超田代砲や超田代砲改Ver1.2などがあります。
これら改良版の中でも、拡散田代砲とサテライトキャノン-TASHIRO-は非常に高い威力がありました。
田代砲が使われた事例5選
田代砲はアメリカの有名ニュース誌「TIME」の投票企画の結果を操作するほど威力のあるものでした。
また、その後も「祭り」は行われ、田代砲はいろいろな投票企画の結果に影響を与えてきました。
では、田代砲は他にどのような企画で使われたのでしょうか?
TIME誌「Asian Heroes」
2001年に「TIME」の「PERSON OF THE YEAR」で田代砲は使われました。
また、その翌年の2002年にも「TIME」の「Asian Heroes」で田代祭りは開かれました。
「PERSON OF THE YEAR」のときと同様に、田代砲によって繰り返し投票が行われ、その投票数は日本人の100人に1人が田代まさしさんに投票したことになる数となったそうです。
映画ポケットモンスター「人気投票」
映画ポケットモンスター「ギラティナと氷空の花束シェイミ」が公開される前に、作中に登場するポケモンの人気投票が行われました。
投票の対象となったポケモンにコイルがいて、ギラティアやピカチュウ、シェイミなどの人気キャラクターと比べると明らかに不利でした。
そこで、「コイルを1位にしよう」という反応が集まり、コイル祭りが開催されました。
コイル祭りが始まってわずか30分でコイルは1位になります。
しかし、運営はコイル祭に気がつき、投票が一時中断されてその後は投票率が確認できない対処をされました。
最終結果はコイルが2位となります。
ギラティアやピカチュウを抑えての2位なので結果としては十分ですが、「大量に票が入っていたはずなのに2位はおかしいのでは?」と疑問の声も挙がることになりました。
妖怪ウォッチ「人気投票」
スマートフォン用ゲーム「妖怪ウォッチ ぷにぷに」では1周年記念企画で人気キャラ投票が行われました。
ただし、ただの人気投票とは異なり、投票の対象に唐揚げや香り高いコーヒー、ひらがなの「ぬ」などのゲームに無関係なものまで含まれていました。
この投票企画は「ぷにぷに VS それ以外」というもので、妖怪ウォッチらしい企画となりました。
しかし、最終結果は妖怪ウォッチのキャラクターではなく、3兆円が1位を獲得することになります。
また、主役キャラであるジバニャンは予選落ちという何とも残念な結果で終わりました。
映画イナズマイレブン「人気投票」
ゲーム「イナズマイレブン」が映画化されることに伴って、人気キャラ投票の企画が立てられました。
ただし、この投票ではコイル祭りでの不正投票が炎上したこともあり、田代砲は使わずに1日1票のルールを守って五条 勝というキャラクターを1位に押し上げるという目的の祭りとなりました。
他のキャラは票が分散することや、毎日投票を行い人もいたことなどから、投票期間中に徹底して票を入れ続けられた五条 勝が1位を獲得してしまいます。
コイル事件では運営が結果を操作する疑惑が向けられたことや、五条 勝に入れらた票がルールを守って入れらたものだったためか、五条 勝は公式に1位と認められました。
ただし、その後に行われた人気投票では、五条 勝は「人気投票から卒業が決定!」とされ投票に対象には入っていません。
JRAのコラボ企画
2013年に進撃の巨人とJRAがコラボして、期間限定でFLASHゲームが公開しました。
そのゲームに登場する進撃の巨人のキャラクターは人気投票によって決められました。
その際に、ハンネスというキャラクターを1位にしようと祭りが始まります。
最終結果は投票数の8割がハンネスに集中して、ダントツの1位となりました。
しかし、投票結果発表後にハンネスはゲームに登場しないことが決定します。
この結果に祭りの参加者は不満を持つかと思いきや、運営はわざわざハンネスがゲームの出場を辞退した理由をわざわざスペシャルムービーを作成して伝えました。
ハンネスの出場はなくなりましたが、祭り参加者たちは運営の粋な対応に喜びの反応を見せました。
田代砲は使ってはいけない?
JRAコラボのように運営が粋な対応をしてくれることもありますが、基本的には企画の結果に影響を与える田代砲は迷惑に思われることがほとんどでしょう。
では、迷惑に思われたり、企画に影響を与える田代砲は使っても良いものなのでしょうか?
田代砲に違法性はある?
田代砲はもともとDoS攻撃を行うツールであり、システムに負荷をかけて正常に動作させなくするものです。
また、企画の結果に影響を与えることは業務妨害となります。
そのため、田代砲を使うと電子計算機損壊等業務妨害罪になり、違法性を問われる可能性もあるでしょう。
電子計算機損壊等業務妨害罪は非親告罪であり、被害者が被害を訴えなくても起訴される可能性があることにも注意が必要です。
持っているだけなら問題ない?
田代砲を使うと違法性を問われる可能性があります。
ただし、電子計算機損壊等業務妨害罪は電子計算機に対しての加害行為や動作阻害、業務妨害を行わなければ違法性を問われることはないので、持っているだけであれば問題ありません。
しかし、誤動作で使ってしまったり、所持していることで使用していると勘違いなどされる可能性はあります。
そのため、不要であれば持つことも避けることが無難でしょう。
田代砲は入手可能?
田代砲は持っているだけであれば違法性はないので、「田代砲 入手方法」と検索すれば、入手できるサイトが出てきます。
しかし、田代砲を使うと違法性を問われる可能性があり、入手元不明のツールであればダウンロードは避けるべきでしょう。
そのため、田代砲は入手不可能ではありませんが、不要であればやはり入手は避けることが無難でしょう。
田代砲は使ってはいけない
田代砲を使うと投票企画の結果を操作することができ、コイル祭りやハンネス祭りなどの使用事例もあります。
しかし、田代砲は使うと違法性を問われる可能性があります。
そのため、不要であれば入手することも避けることが無難でしょう。
誰でも気軽に参加できるネット上での企画であっても、楽しんで参加しているユーザーや、その企画を懸命に行う運営もいます。
必ずルールとマナーは守るようにしましょう。