テレビや動画などでは定番のドッキリの「落とし穴」ですが、実はこの「落とし穴」で過去に死亡事故が起きたことがあるということをご存じでしょうか?
「たかが落とし穴で」と思ってしまいますが、死亡事故が起こってしまった理由やその後の対応から素人の落とし穴は想像以上に危険なものであるということが分かりました。
そして、何よりこの事故で問題だったのは、落とし穴事故の後に「助けなかった」ということ。
危険な状態だとわかっているはずなのに、なぜ助けなかったのでしょうか?
関係なさそうなパンツ特定に関する情報についても詳しく見ていきましょう。
サプライズで死亡?新婚夫婦の落とし穴死亡事故とは?
ドッキリの定番である落とし穴。
そんな落とし穴で死亡事故という悲劇が起こったのは2011年8月27日のことでした。
その落とし穴はテレビや動画などの企画ではなく一般の人が行ったもので、被害にあったのはなんと新婚夫婦でした。
幸せの絶頂にあるはずの新婚夫婦が「サプライズの落とし穴で死亡する」というなんとも悲惨な話に、当時TVやネットで多く取り上げられることになりました。
しかし、ドッキリということなら周囲には人もいるはずですが、なぜ助けなかったのでしょうか?
2人は本当に亡くなるしかなかったのでしょうか?
まずは事件の経緯を確認しておきましょう。
(※新婚夫婦の落とし穴死亡事故は事件であり、被害者と加害者がいます。また、近年では忘れられる権利が重要視されています。そのため、本記事では被害者と加害者の名前は伏せ、事件の内容が主体となっています。)
計画と準備
結婚から4カ月しか経っていない新婚夫婦の妻は、愛する夫に誕生日サプライズとして落とし穴を計画します。
落とし穴のドッキリの舞台に選ばれたのは、海水浴場に使われていない石川県かほく市にある「大崎海岸」。
海水浴場として使われていないため、8月という繁忙期であっても人通りは少なかったことから絶好のポイントに思えたようです。
妻は友人たちに声をかけ、砂浜に6時間かけて落とし穴を作りました。
その落とし穴は幅が2.4m、深さが2.5mもの大きなもので、ビニールシートで穴を隠して砂を被せたものでした。
この落とし穴の制作には6時間もかかったそうで、真夏の8月での作業だったことを思うとかなりの重労働だったのではないかということが察せられます。
汗をかきながら、それでも喜ぶ夫の姿を想像しながら頑張って掘ったのでしょうね。
この落とし穴に夫婦2人で落ちて、思い出にするつもりだったようです。
夫を誘い出す
落とし穴が完成後、妻は夫を落とし穴のある砂浜に誘い出します。
時刻は22:00で、ちょうどその日は新月だったために砂浜は真っ暗な状態だったと言います。
また、海水浴場でもない大崎海岸は海の家もなく辺りには人通りもあまりないために光源もなかったのだとか。
そんな中、2人は落とし穴の方に歩き出し、落とし穴作りを手伝った友人たちは2人の様子を暗闇に隠れて見守っていたと言います。
サプライズの実行
妻は夫を誘導して落とし穴に向かい、2人で落とし穴に落ちることに成功します。
その様子を見守っていた友人たちは、落下による悲鳴を聞いてクラッカーを鳴らすために穴へと駆け寄りました。
友人たちは驚いた表情の夫や、笑顔の妻などのリアクションを期待していました。
しかし、友人たちは穴の中の悲惨な状況を目にすることになります。
想定外の事故
夫婦は、周囲が暗かったこともあって落とし穴にかけていたブルーシートに足を取られて穴に頭から落ちてしまったようです。
穴に落ちた時に、落とし穴の蓋にしていたブルーシートの上に積んでいた砂や石や壁面も一緒に崩れてしまったことで上半身が腰まで埋まっている状態だったといいます。
それだけなら、まだ周囲にいた友人たちがすぐに砂を掘ることで助けられそうにも思いますが、なぜ助けなかったのでしょうか?
実は、友人たちも急いで夫婦を助けようと砂を掘ったのですが、頭から腰まで埋まってしまったほどの砂は重く、簡単に掘ることはできません。
また、2人はブルーシートにくるまれるような形で落下したようで、引きあげることも難しかったようです。
そして、掘っても掘ってもまた砂浜のサラサラした砂がすぐに上から流れこんできて…。
それでも、友人たちは自分たちの力だけで夫婦を助けようともがいた結果、夫婦が穴に落ちてから45分後に119番に通報することになります。
夫婦の救出と結末
通報から数分後に駆け付けたレスキュー隊によって、落とし穴に落ちた2人の救助活動が始まりました。
しかし、レスキュー隊も夫婦の救助は難航し、2人を助け出せたのは救助活動開始から1時間後となりました。
生き埋めになった夫婦はすぐに救急車で病院に搬送されましたが、窒息で命を落としてしまいます。
当時、この事件はテレビや新聞などのニュースで取り上げられました。
その際に落とし穴の映像や写真が公開されています。
夫婦が落とし穴に落ちて、穴が砂である程度は埋まった状態です。
それでもかなりの深さがあると、落とし穴の映像や写真からはわかります。
夫婦が穴に落ちた際には、もっと深さがあったと考えられるので、どれだけ危険なものであったか想像できるでしょう。
落とし穴で死亡事故が起こった原因は?
落とし穴はドッキリの定番で、テレビや動画などの企画でもよくあります。
それらはどれも楽しく観ることができます。
では、楽しく観れるはずの落とし穴で、なぜ事故は起きてしまったのでしょうか?
また、なぜ夫婦は助けられなかったのでしょうか?
どうして落とし穴?
ドッキリとしては定番の落とし穴ですが、大きな穴を掘るのは重労働です。
そのため、ドッキリの定番と言っても、一般の人がサプライズで落とし穴を選択することは少ないでしょう。
しかし、妻は夫へのサプライズで落とし穴を選びました。
公表されている事実ではないため定かではありませんが、これは事件の2日前に妻がTBSの「ひみつの嵐ちゃん」という番組で落とし穴の企画を見て影響を受けたためと言われています。
ただ、当然ながらテレビの場合は安全をしっかりと確保したうえで、落とし穴を作成しています。
素人が作った落とし穴では、その安全性を十分に確保できなかったと考えられているようです。
素人が作った落とし穴
テレビなどで観る落とし穴は、穴が崩れないように壁に板が貼られ、壁面と底には大量のクッション材が使われています。
しかし、事件の落とし穴は底にマットが敷いてあるだけだったようです。
深さが2.5mもある場合は、ウレタンなどの柔らかいクッション材がもっと必要です。
また、穴に被せられていたのはブルーシートでした。
ブルーシートに足を取られた夫婦は、前方に倒れこむ形で落下したことで上半身が埋まったと言われています。
バラエティ番組のディレクターを経験されていた方が言うに、ブルーシートは意外と丈夫で落とし穴にかぶせても中々思ったところで落ちないそう。
たのため、すぐに破れて落ちる薄い発泡スチロールをつかうことで垂直に落下させて安全を確保しているのだそうです。
また、TV番組なら、落とし穴は周囲の砂壁を巻き込まないようにするために板などをはめこんでいるそうですが、素人がTVを見ているかぎり、そのような安全への配慮があるなんて中々気づきませんよね。
砂は想像するよりも重く、埋まってしまうと抜け出すことが容易ではなく、掘るのも大変です。
これらの知識が不十分な状態で危険な落とし穴を作ってしまったことも、事故に繋がった原因と言われています。
サプライズのタイミング
サプライズが実行されたのは夜の22:00の砂浜です。
そのため、街と違って真っ暗でした。
また、当日は新月であり、普段よりも辺りは暗かったようです。
暗くて足元が見えづらくなっていたことで、ブルーシートに足を取られて前方に倒れこみやすくなっていたと考えられます。
通報が遅すぎる
落とし穴に落ちた夫婦を助けられなかった友人たちは、夫婦が落とし穴に落ちてから45分後に119番通報しています。
驚きと友人の死を目の前にして気が動転していたのかもしれませんが、それにしてもちょっと通報までに時間がかかりすぎなような気もしますね。
救急隊による救命活動も1時間程かかったため、すぐに通報していても助からなかった可能性も高いですが…。
落とし穴事件は、妻と一緒に落とし穴を掘った友人たちについても「なぜ助けなかったんだ」「なぜ止めなかったんだ」等風当たりも強い事件でもあります。
もう少し早く救急隊を呼んでいれば、ここまでバッシングされることもなかったのかもしれません。
落とし穴死亡事故のその後
サプライズのつもりが、落とし穴によって新婚夫婦は命を落としてしまいました。
では、サプライズを手伝った友人たちは、その後どうなったのでしょうか?
また、事件に対する世間の反応はどのようなものだったのでしょうか?
死亡事故として報道
この事故では新婚夫婦の命が亡くなっています。
そのため、世間では「まだ新婚なのにかわいそう」「喜ばせようとしただけなのに」など、悲しむ声が多くありました。
ただし、中には「こんなの危険に決まっている」「自業自得」など厳しい意見もあったようです。
特に、新婚夫婦の知人が事故現場を訪れる様子はネットを中心に話題となりました。
「事故現場に来るには服装がカジュアルすぎる」「手前の女性はパンツまで見えている」など、こちらにも厳しい意見が出ていたようです。
亡くなった夫婦を悼むことに、ファッションもパンツも本来は関係なく、気持ちが大切です。
しかし、夫婦や友人たちに厳しい意見があったことから、事故現場を訪れた知人たちまでも厳しい意見が飛び火してしまったと考えられます。
また、当時では放送に問題がなかったのでしょうが、パンツが映っているのであれば、映像を流す側も少し配慮が必要であったと言えるでしょう。
現代であればパンツにモザイクを入れたり、アングルを変えたりなどされるでしょう。
犯人の書類送検
事故後、落とし穴を作った友人6人は十過失致死とか海岸法違反で書類送検されました。
また、すでに亡くなっている妻も被疑者死亡のまま書類送検されました。
ただし、妻も友人も殺意があって落とし穴を作成したわけではありません。
そのため、友人たちは起訴猶予処分となり、妻は死亡していることで不起訴処分となりました。
民事訴訟にも発展
事故後、夫側の両親は妻の両親と友人たち6人に損害賠償を求めて民事訴訟を起こしています。
裁判では妻と友人たちの過失が認められましたが、2人が場の空気を読んで自ら穴に落ちたとも考えられることから夫にも4割の過失が認められました。
そのため、夫側の両親は9100万円を請求しましたが、4130万円の支払いが命じられます。
内訳は妻の両親が約1030万円、友人たち6人に約3100万円でした。
その後、訴訟は控訴されますが、2015年に和解が成立しました。
落とし穴死亡事故でパンツ特定とは?
先ほどの報道にあったカジュアルな服装についてですが、実はこの「友人のパンツ」について、2ちゃんねるの方でかなり話題になったようです。
そして、不謹慎ではありますが、そのパンツのメーカー等が特定されてしまったようです。
エメフィールというメーカーのもので、セットで1,385円での販売だったようで、「10代に人気」「安くてかわいい」「エロい」等とのコメントが相次いでいました。
亡くなった方や故人を偲んでいる方に対して、不謹慎ではありますが…。
確かにここまでがっつり映っていたら気になってしまうかもしれませんね。
それにしても、これだけの情報でパンツを特定できるなんて、すごいリサーチ力ですよね…。
落とし穴は死亡事故もあるので素人がやるには危険
テレビのドッキリなどでよくみる落とし穴ですが、実はしっかりと安全に配慮して作られたもの。
2011年8月には、まさにその落とし穴で幸せの絶頂からどん底に落とされてしまった不憫な夫婦もいます。
夫婦落とし穴死亡事件の後は、関係者と身内で裁判が起こったり、報道やネットによってファッションやパンツなどで無関係の知人にまで厳しい意見が浴びせられたりすることもあります。
周囲にも影響を与えてしまうということも考えると、安易に手を出してはいけないことが分かりますね。
また、落とし穴に限らず、テレビではたびたび危なそうな企画をやっています。
それらも専門家や医者などが監修して、しっかりと安全性が保たれたものですので、安易に真似しないようにしましょう。