「エベレストの眠れる美女」は、1998年5月22日に酸素ボンベを使わずにエベレストの頂上に到達した最初の女性「フランシス・アルセンティエフ」さんのことです。
エベレストはヒマラヤ山脈にある世界最高峰の山で、ネパールと中国との国境に位置しています。
高さは約8848メートルで、富士山の倍以上も高い山。
写真を見ると、雪が険しく登山が難しい山だと分かります。
男性でも難しいエベレスト頂上への到達ですが、残念ながら、エベレストの眠れる美女は登頂後に亡くなってしまいました。
今回は、エベレストの眠れる美女が死亡した経緯や、遺体が今も放置されているのかについてまとめてみたいと思います!
エベレスト眠れる美女が遭難・死亡した経緯は?遺体は今も放置状態!?
エベレストの眠れる美女が遭難・死亡したのは「デスゾーン」と言われる標高8,000m以上の高度地帯で一晩を過ごしたのが理由です。
デスゾーンは酸素濃度が低いため、人間の生存が難しくなるエリアです。
エベレストでは遺体を運ぶことが難しいことから、多くの遺体がそのまま放置されていると言われています。
エベレストの眠れる美女が遭難・死亡した経緯と、遺体が現在どうなっているのかを解説します。
エベレスト眠れる美女ってなに?
冒頭でも解説しましたが、「エベレストの眠れる美女」は、1998年5月22日に酸素ボンベを使わずにエベレストの頂上に到達した最初の女性「フランシス・アルセンティエフ」さんのことです。
フランシス・アルセンティエフさんは、夫のセルゲイ・アルセンティエフさんと一緒にエベレストに登りました。
酸素ボンベ無しでエベレストに登頂しましたが、その後、下山中に亡くなりました。
死亡原因は低酸素症と言われています。
経緯①フランシスと夫はエベレストへ
フランシスさんと夫のセルゲイ・アルセンティエフさんは有名な登山家でした。
1998年5月17日、2人はエベレストに入り、5月20日まではキャンプを経由して順調に登っていました。
5月21日にキャンプを出て頂上へ向かいますが、ヘッドランプの故障を理由に引き返しています。
経緯②酸素不足の状態でデスゾーンで一晩過ごす
フランシスさんと夫は5月22日にキャンプを出て登頂を目指していました。
しかし、高度が高く酸素が不足していたため、ゆっくりと移動。
その結果、時間が遅くなったため「デスゾーン」と言われる標高8,000m以上の高度地帯で一晩を過ごすことになってしまいました。
デスゾーンは酸素濃度が低いため、人間の生存が難しくなるエリアです。
標高8,000mの場合、空気中の酸素濃度は地上のほぼ3分の1、平均気温がマイナス30度。
そのため、デスゾーンに長く滞在すると、低酸素症や凍傷になる可能性が高くなります。
夕方の間にフランシスさんと夫は離れ離れになってしまい、夫は翌朝キャンプへ向かっています。
経緯③フランシスが体調不良で動けなくなる
フランシスさんは下山中に低酸素症と凍傷で動けなくなりました。
その時、頂上に向かって登っていたウズベキスタンのチームがフランシスさんを発見。
ウズベキスタンチームのメンバーは酸素を供給して、フランシスさんを助けようとしましたが、酸素が少なくなってしまい、フランシスさんを助けることができませんでした。
フランシスさんの夫は酸素と薬を持って妻を探しており、その姿をウズベキスタンのチームが見かけています。
経緯④登山開始から7日後にフランシスが亡くなる
1998年5月24日の朝に、他の登山者がフランシスさんを見かけて助けようとしました。
しかし、悪天候などが原因で救助を断念。
他の登山者が救助を断念して離れようとした時、フランシスさんは「私から離れないで、置いていかないで」と助けを求めたと言われています。
その後、残念ながらフランシスさんの死亡が確認されました。
経緯⑤夫は行方不明→翌年に遺体が発見される
1998年5月24日にフランシスさんが亡くなった時、近くに夫のピッケルとロープがありましたが、夫を見つけることはできませんでした。
フランシスさんの夫は、亡くなっているところを翌年1999年に発見されました。
「マロリーとアーバイン」遠征隊のメンバーが、フランシスさんの夫の遺体を山の斜面の麓で発見。
妻のフランシスさんを助けようとしたところ、滑落死してしまったのではと言われています。
フランシスは“エベレスト眠れる美女”と呼ばれて9年以上目印になる
「エベレストの眠れる美女」フランシスさんの遺体は、1998年5月24日から2007年5月23日までの9年間、エベレスト登山者の目印となっていました。
エベレストで亡くなった場合、遺体を運ぶのが難しいことから、放置されたままになってしまうことが多いです。
「エベレストの眠れる美女」フランシスさんの登山ウェアが紫色で雪の中でも目立つことから、登山者の目印になっていたと言われています。
エベレスト眠れる美女の遺体はどうなった?デスゾーンには他にも遺体がある?
エベレストの眠れる美女の遺体は、2007年5月23日にイギリス人の登山家が移動しました。
イギリス人の登山家イアン・ウッドオールさんは、1998年にフランシスさんを助けることができませんでしたが、その後ずっと後悔していたため、再度登頂したのではないでしょうか。
また、ここからはエベレストの眠れる美女の遺体と、デスゾーンなどについて解説します。
エベレスト眠れる美女の遺体があるデスゾーンは超危険!
デスゾーンは酸素濃度が低いため、人間の生存が難しくなるエリアです。
標高約8,000m以上がデスゾーンで、酸素量は地上の約3分の1程度、平均気温がマイナス30度と言われています。
酸素不足により身体機能が悪化して意識が低下し、死に至ると言われている恐ろしい場所です。
エベレスト眠れる美女の遺体は2007年に弔われた
イギリス人の登山家イアン・ウッドオールさんがエベレストの眠れる美女の遺体を2007年5月23日に弔っています。
先述の通り1998年5月24日、イアン・ウッドオールさんはエベレストの眠れる美女に「置いていかないで」と言われていましたが、悪天候などが原因で救助を断念したという経緯があります。
イアン・ウッドオールさんは、頂上を目指すのではなく、「エベレストの眠れる美女」フランシスさんの遺体を弔うためにエベレストに向けて出発。
途中の悪天候で危険な状態になりましたが、エベレストの眠れる美女の遺体の場所までたどり着きました。
遺体にアメリカ国旗を巻き、弔いのセレモニーを行った後は、他の遭難者が眠る「北面の山の墓」と呼ばれる所へ彼女を送りました。
デスゾーンにはエベレスト眠れる美女以外の遺体“グリーンブーツ”もある!?
グリーンブーツは、エベレスト山頂への道にある身元不明の遺体のことで、登山ルートの目印となるものです。
1996年に遭難死したインドの登山家ツェワング・パルジョールさんが、登山用のグリーンブーツを履いていたことに由来します。
エベレストでの遺体回収は難しく、腐敗もしないため、遺体が何百体も残ったままになっていると言われています。
イギリス人の登山家イアン・ウッドオールさんがエベレストの眠れる美女の遺体を2007年5月23日に弔った時、他のグリーンブーツも一緒に弔ったと言われています。
【遺体写真有】グリーンブーツが多数存在する場所は“虹の谷”と呼ばれている
虹の谷とは、グリーンブーツと呼ばれる身元不明の遺体がたくさんある場所のことです。
遺体がカラフルな登山ウェアを着ているため、そのように呼ばれました。
エベレストには死体を腐らせる菌がおらず、空気が乾燥しているため、ミイラになって残ります。
遺体の写真が多く残されていますが、眠っているだけのようです。
遺体がある場所は正しい登山ルートであることが多いため、虹の谷やグリーンブーツがある道を目印にすると良いと言われています。
エベレストの遺体が放置される理由は?なぜ回収できない?
エベレストで遺体を収容するのは大きな危険が伴うため、放置されていると言われています。
遺体に氷が付着していると1人160kgほどになり、遺体を収容する登山者を危険にさらす可能性があります。
また、登山料が200万ほど必要なこと、登山のための特別なトレーニングを受ける必要があること、大人数で向かわなければいけないことも遺体収容が難しい原因です。
エベレストは酸素量が少ないため、ヘリは浮力を保てず墜落してしまいます。
エベレストの遺体の現在は?温暖化で大変なことに!?
温暖化により、以前は厚い氷に覆われていた場所が現在は地面が露出している所もあります。
また、今までは雪や氷で隠れていた遺体が発見されるようになりました。
今後、温暖化が続けば、氷河の3分の1が今世紀中に消えると言われておりエベレストにも変化が起こることは間違いなさそうです。
エベレストの危険はデスゾーン以外にも?イモトが遭遇した雪崩事故とは?
2014年4月18日にエベレストで大規模な雪崩が発生し、過去最悪の事故が起こってしまいました。
その雪崩でネパール人ガイドを含む13名が死亡しました。
その時、お笑いタレントの「イモトアヤコ」さんやスタッフはエベレスト登頂に向けて、近くの山でトレーニングをしていました。
イモトアヤコさんとスタッフに雪崩の被害はありませんでしたが、エベレスト専門部隊が撤退したため、登頂を断念しています。
エベレスト眠れる美女の死因は低酸素症!エベレストは危険な山
エベレストの眠れる美女が死亡した経緯や、遺体が今も放置されているのかについて解説しました。
「置いていかないで」とお願いされても助けられない現実、虹の谷やグリーンブーツなど、地上では考えられない過酷な状況がエベレストでは起きています。
また、エベレストで亡くなった多くの方の写真が残されていることに驚きます。
近年では登山技術が上がったため、生きて登山できる確率が高くなりました。
しかし、エベレストに登頂する時は自然の恐ろしさを知り、しっかりと対策を取ることが大切です。