ピザ配達人爆死事件は2003年にアメリカで起こりました。
FBIが主導したこの事件は、とても複雑な経過を辿っています。
また、ピザ配達人が爆発する瞬間の動画や画像がネット上に出回り話題となりました。
ピザ配達人爆死事件の事件概要をまとめました。
【画像あり】複数の事件が関係?!ピザ配達人爆死事件の概要
ピザ配達人爆死事件は、2003年8月28日、アメリカ・ペンシルベニアのエリーで起こりました。
10年以上にわたりピザ配達人として働いていたブライアン・ウェルズが首に爆弾を仕掛けられ、爆発によって亡くなるという事件です。
爆死する前、ウェルズは銀行を襲っていました。
複数の事件が絡んだピザ配達人事件の詳しい概要をご紹介します。
ピザの配達先で銃で脅迫された?
2003年8月28日の午後、ピザ店から数マイル離れた「8631ピーチ・ストリート」という住所に配達するようにピザの注文が入りました。
指定された住所は、未舗装の道路の突き当りにテレビ塔がある場所でした。
ウェルズはテレビ塔に到着すると、3人の男たちに囲まれ、首に時限式の爆弾を仕掛けられてしまいます。
そして銀行強盗をするよう指示されました。
このとき、ウェルズには杖の形をした手作りのショットガンと9ページにわたる手書きの指示書が渡されたそうです。
ウェルズに渡された指示書の内容は、仕掛けられた爆弾の起爆を遅らせる方法でした。
爆弾を解除するために必要ないくつかの鍵を入手する課題が列挙されており、タイムリミットも示されていました。
絶えず監視している、通報したり逃げ出そうとすれば爆弾は爆発するという内容も書き添えられており、ウェルズは指示に従うしかありません。
指示書の最後の行には、
「考える前に行動しろ、さもなければ死ぬぞ(”ACT NOW, THINK LATER OR YOU WILL DIE!”)」
と書かれていたそうです。
指示書通りに銀行強盗をする?!
指示書に書かれていた最初の課題は、ピーチストリート沿いのPNGC銀行を襲うという内容でした。
銀行に「静かに」入店し、指示書に添付されていた25万ドルを要求するメモを銀行の窓口係に渡せ、と書かれていました。
自分は人質である、と主張するよう指示されました。
指示書に従い、ウェルズは午後2時30分ごろに銀行に入ります。
(引用元:Twitter)
こちらは、ブライアン・ウェルズの写真と、犯行時の様子です。
ウェルズが窓口係に渡したメモには「15分で爆弾が起爆する」「その間に要求額の全額を引き渡せ」と書かれていました。
15分という短い時間で金庫室にアクセスし、25万ドルという大金を運び出すのは不可能です。
窓口係は窓口ですぐ出せる8,702ドルの入った袋をウェルズに渡しました。
【グロ動画あり】生中継の爆発の瞬間がやばい?
銀行強盗が行われてから15分後、警察は自分の車のそばに佇むウェルズを発見し、逮捕しました。
ウェルズは手錠をかけられ、そのまま地べたに座らされました。
ウェルズは警察に対し、面識のない3人の黒人男性に脅され、首に時限爆弾を仕掛けられていると主張しました。
銀行を襲ったのも、爆弾を解除するための課題の一部であると説明しました。
警察官は、現場から一般人を避難させ、爆発物処理班を呼び出します。
しかし、処理班が現場に到着する3分前に爆弾は起爆してしまいました。
「ピザ屋の店長に電話させてくれ」というのがウェルズの最後の言葉となりました。
当時、現場の映像はTV中継されていました。
爆発する瞬間の映像は技術的な問題のため生放送されていません。
しかし、経緯は不明ですがインターネット上には爆発死の瞬間の動画が流出し、動画サイトなどで見ることができます。
爆発死の瞬間をおさめている閲覧注意のグロ動画です。
ウェルズの遺体は切断された?爆弾解除は不可能?
ウェルズは首に仕掛けられた爆弾が爆発したことにより、頭部と胸部が砕けました。
拡散されている動画では、爆発の瞬間、体の一部が弾け飛ぶ様子が伺えます。
ほぼ即死状態でした。
犯人の手がかりを探るため、警察は首輪や起爆装置を回収しました。
そのとき、ウェルズの遺体は首を切断されたといいます。
(引用元:シネマトゥデイ)
こちらが実際の首輪です。
爆発しても壊れないくらい頑丈な首輪を着けられていたのでしょう。
爆死した上に切断されてしまうとは、なんとも痛ましい話です。
警察は重要な証拠品である首輪を切断することは避けたかったのだろうと思います。
残念ながら首輪や起爆装置からは指紋は検出されず、犯人の手がかりは得られませんでした。
ウェルズが持っていた指示書は爆発前に押収されています。
こちらが実際の指示書です。
警察の捜査によると、指定された通りに動いても時限式爆弾の起爆前に解除することは不可能でした。
時限爆弾のタイマーは60分にセットされていたんだとか。
犯人は最初からウェルズを殺すつもりだったのでしょう。
ウェルズの同僚が事件直後に自宅で死亡した?!
2003年8月31日、ウェルズの同僚であるピザ配達員のロバート・ピネッティが自宅で死亡していたことが判明します。
捜査関係者は、爆発死事件後にこの男性が不審な動きをしていたため翌日に警察で聴取をする予定でした。
最終的にはピネッティの死因は偶発的な薬物の過剰摂取であると判定され、事件とは無関係とされています。
ピザ配達人爆死事件の共犯者でチクリ合いが始まる?!
犯人への手がかりがないまま時は過ぎました。
事件から約一ヶ月後の2003年9月20日、捜査は進展を見せます。
テレビ塔の近所に住むビル・ロススタインが、自宅ガレージの冷凍庫にジェームズ・ローデンという名の男性の死体があることを通報しました。
(引用元:Twitter)
こちらはロススタインの写真です。
ロススタインは警察に電話をかけた後、ピサ配達人爆死事件と自分は無関係である、という内容の遺書を書きました。
実際には自殺する前に警察が到着し、そのまま警察の保護下におかれています。
ロススタインはその後2004年7月30日に病死しています。
ロススタインはローデンを殺したのは自身が1960年代後半から1970年代初頭にかけて交際していたマージョリー・ディール=アームストロングという女性であると明かしました。
(引用元:Twitter)
こちらはディール=アームストロングの写真です。
ディール=アームストロングは金銭トラブルの末に交際相手であるローデンさんを射殺し、2,000ドル払って死体の隠蔽や現場の清掃をロススタインさんに頼んだと証言しています。
通報の翌日、警察はディール=アームストロングを逮捕しました。
彼女は長年にわたり、様々な精神疾患を抱えており、トラブルを多数抱えていることは警察も把握していました。
2005年1月、ディール=アームストロングはローデンの殺害について、精神疾患の下での有罪が認められ、懲役刑を宣告されました。
3ヶ月後、ディール=アームストロングはピザ配達人爆死事件について情報を知っていると州警察に明かしました。
それを受け、捜査を主導していたFBIの捜査官が面会に訪れました。
ディール=アームストロングは現在彼女が収容されている重警備の刑務所から軽犯罪者用の刑務所へ移送してくれれば、事件についての情報をすべて話すという条件を出しました。
ディール=アームストロングは事件の首謀者はロススタインであり、死亡したウェルズも単なる被害者ではなく、計画に直接的に参加していたと証言しました。
ピザ配達人爆死事件から7年後の裁判では、ディール=アームストロングがローデンを射殺したのは、銀行強盗の計画について密告する恐れがあると考えたためということがわかりました。
この時点で事件に関わったとわかっているのは、
- ブライアン・ウェルズ
- ジェームズ・ローデン
- ビル・ロススタイン
- マージョリー・ディール=アームストロング
の4人です。
ロススタインがディール=アームストロングを告発し、ディール=アームストロングがロススタインと死亡したウェルズを告発するという、共犯者同士のチクリ合いが行われました。
ピザ配達人爆死事件の首謀者はマージョリーで確定?
2005年の後半になり、ディール=アームストロングの友人で、麻薬関連の罪で刑務所に収監されていた元テレビ修理業者ケネス・バーンズが義理の兄弟にピザ配達人爆死事件について話したのです。
(引用元:Twitter)
こちらはケネス・バーンズの写真です。
逮捕されたバーンズの証言によると、事件の真の首謀者はディール=アームストロングでした。
父親の殺害をバーンズに依頼するためのお金欲しさに、銀行強盗を計画したのだといいます。
ディール=アームストロングの父親は一時約180万ドルもの財産を所有していましたが、親娘は不仲で、財産の相続は絶望的でした。
財産をぶんどるために殺そうと考えたのです。
まとめると、事件に関わっていたのは
- ブライアン・ウェルズ
- ジェームズ・ローデン
- ビル・ロススタイン
- マージョリー・ディール=アームストロング
- ケネス・バーンズ
の5人です。
流れとしては、
- ウェルズを脅す役の3人の男たちはローデン、ロススタイン、バーンズ
- ディール=アームストロングは父親の殺害計画を思いつき、バーンズに依頼
- バーンズは殺害の報酬を稼ぐために銀行強盗をしてくれる人を探していた
- ウェルズが強盗役として選ばれた
- ディール=アームストロングはローデンを殺害(銀行から奪ったお金を巡る金銭トラブル?)
- 手伝ったロススタインが怖くなって通報
ということです。
ウェルズが強盗役に選ばれた経緯については、後ほどご紹介します。
【犯行動機】被害者が殺された理由とは?
ウェルズが犯行計画に加わった動機は不明ですが、犯行計画に引き入れられており、ディール=アームストロングたちの仲間だったということになります。
爆弾はフェイクだと思っていたのに、本物を仕掛けられてさぞ驚いたことでしょう。
ウェルズが殺されたのは、口封じのためでした。
ディール=アームストロングが証人の数を減らすことで身を守ろうと考えたためです。
ピザ配達人爆死事件のその後は?
ピザ配達人爆死事件は、2007年7月にすべての捜査が終わっています。
その時点で首謀者とされていたディール=アームストロングと共犯のバーンズが起訴されました。
すでに死亡していたロススタインとウェルズも不起訴の共謀者となりました。
犯人たちに下された判決は?
2008年7月29日、合衆国地方裁判所はディール=アームストロングは精神疾患のため裁判に必要な責任能力を持っていないと判断しています。
一定期間精神病院で治療をしたのち、責任能力について再び検討することになりました。
翌年の聴聞会で裁判に必要な責任能力があると認められ、裁判にかけられます。
さらに翌年、ディール=アームストロングは武装銀行強盗およびその共謀、そして犯罪に破壊的装置を使用したことで有罪判決を受け、終身刑を言い渡されました。
バーンズは銀行強盗の共謀とほう助、教唆の罪などで有罪となり、45年の懲役刑でした。
アームストロングは68歳で獄死?
ディール=アームストロングは2017年、乳がんにより獄死しました。
享年68歳でした。
共犯者であるロススタインは2004年に非ホジキンリンパ腫により死亡、バーンズは糖尿病により2019年に獄死しています。
つまり、ピザ配達人爆死事件の主犯グループはみんなこの世を去っているのです。
マージョリーとロススタインはマークされていた?
マージョリー・ディール=アームストロングとビル・ロススタインは早い段階でFBIにマークされていました。
ディール=アームストロングは過去に夫や交際相手が何人も不審死しており、逮捕されたこともあるのです。
その時は正当防衛が認められ無罪となりました。
一方、通報者のロススタインも過去に殺人事件に関与した事実があります。
友人が恋敵を殺害する際に狂気の拳銃を提供したのです。
ロススタインは事件への証言を行うことと引き換えに訴追を免除されました。
FBIは爆弾や改造銃を作る技術を持つ人物を探していました。
ロススタインは自宅に作業所を持っていることも突き止め、主犯:ディール=アームストロング、技術者:ロススタイン、実行犯ウェルズと見ていたようです。
ピザ配達人爆死事件がNETFLIXで映画化された?
ピザ配達人爆死事件は2018年にNETFLIXでドキュメンタリー映画化されています。
銀行強盗犯が爆死し、さまざまな関係者が登場し複雑化していく事件は「事実は小説よりも奇なり」そのもの。
爆破の瞬間のグロい動画が公開されていることもありセンセーショナルな事件として様々な映画やTV番組で取り上げられています。
邪悪な天才 ピザ配達人爆死事件の真相
ディール=アームストロングが亡くなった翌年、NETFLIX制作で「邪悪な天才 ピザ配達人爆死事件の真相」が公開されました。
エピソードは4つからなり、
- パート1: 強盗事件
- パート2: 凍った死体
- パート3: 容疑者たち
- パート4: 告白
です。
このパート4の中で、事件の関係者としてジェシカ・フープシックが新たな証言をしています。
(引用元:Twitter)
バーンズに銀行強盗のできる人物を紹介してほしいと頼まれたフープシックがウェルズを紹介したというのです。
フープシックは売春婦であり、ウェルズもバーンズも顧客だったそうです。
フープシックはウェルズを紹介したことへの後悔を語り、「彼は何も知らないまま強盗計画に巻き込まれた」と主張しました。
この主張が真実であるのかどうか、確かめるすべはありません。
彼女以外の関係者はすでにみんな死んでいるのですから。
アンビリーバボーでも放送された?!
ピザ配達人爆死事件はアメリカのメディアで大きく取り上げられ、公開捜査番組「アメリカズ・モスト・ウォンテッド」で特集を3回組まれるなど継続的に取り扱われました。
映画の題材としても扱われ、「PVC-1 余命85分」(2007)、「ピザボーイ 史上最凶のご注文」(2011)が公開されています。
日本でも
- 2006年4月27日放送の「奇跡体験アンビリーバボー」
- 2020年4月22日放送の「世界の何だコレ!?ミステリー」
で取り上げられました。
2018年にはNetflixでも「邪悪な天才」というタイトルで「ピザ配達人爆死事件」の真相を調査しており、話題になっています。
【画像あり】ピザ配達人爆死事件の真相がやばい?!爆発の瞬間の遺体がグロい!まとめ
ピザ配達人殺人事件の概要をまとめました。
「FBI史上、有数の極めて複雑怪奇な犯罪の1つ」と言われるのも納得な複雑さです。
最終的な事件関係者は
- ブライアン・ウェルズ
- ジェームズ・ローデン
- ビル・ロススタイン
- マージョリー・ディール=アームストロング
- ケネス・バーンズ
- ジェシカ・フープシック
の6人でした。
実際に裁かれたのはロススタインとマージョリー・ディール=アームストロングのみです。
フープシックはウェルズは巻き込まれただけと証言しており、ウェルズの遺族も同様に共犯者ではないと主張しています。
結局、ウェルズがどの立場だったのかはわからないままです。
まさに死人に口なしですね。