皆さんは「ナヨン事件」という韓国で起きた事件をご存じでしょうか。
ナヨン事件は間違いなく韓国犯罪史に残るであろう少女への猟奇的な性犯罪・強姦致傷事件です。
しかもなんと犯人”チョ・ドゥスン”は既に刑務所から出所しているというのです。
韓国では映画化されたことで多くの人々に知られることになりましたが、”チョ・ドゥスン”の刑の軽さに対して異論を唱える声が多く上がりました。
韓国の性犯罪に関する法改正にも影響を及ぼすほどの社会問題にもなり、ナヨン事件が韓国国内に及ぼした影響は計り知れません。
凄惨すぎるナヨン事件の概要から犯人のその後、また被害者女性の現在についても詳しく解説していきます。
【韓国史上最悪】ナヨン事件の概要がヤバすぎる!?
日本ではナヨン事件について詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
韓国で起こったのと、14年前の事件なので聞いたこともない人も多いのも無理はありません。
しかし残虐非道なこの事件は韓国だけでなく、中国をはじめ国際社会にも大きな反響を生みました。
あまり日本では話題にされなかったナヨン事件とはどんな内容なのでしょうか。
ナヨン事件の概要
ナヨン事件は、2008年12月に大韓民国・京畿道安山市檀園区で起こった、児童強姦致傷事件のことです。
裁判では、残虐な犯行に最高刑を求刑されたましたが、犯人である男性は多くの前科があるにも拘わらず酒酔状態のためかなり軽い判決が下ったことで当時話題になりました。
それにより、司法の在り方に欠陥があるとして韓国刑法への批難を集めたことでも有名な事件です。
別名はチョ・ドゥスン事件
ナヨン事件の「ナヨン」は被害者の仮名です。
日本でいうところの「○○ちゃん誘拐事件」のようなもので、被害者であるキム・ナヨンちゃんの名前で当時報道されました。
しかし、韓国では加害者を問題にすべきとのネット上の批判から、現在は犯人の名前であるチョ・ドゥスンを冠したチョ・ドゥスン事件と呼ばれています。
事件が起こったのは朝
事件は2008年12月11日8時30分、大韓民国・京畿道安山市檀園区で起こりました。
当時56歳の犯人であるチョ・ドゥスンは酒に酔ったまま、安山市檀園区の教会の前の路上で登校中の当時8歳の被害者児童であるキム・ナヨンちゃん(仮名)を発見。
被害児童に声を掛けると、「教会に行かなければならない」と言って教会のトイレに連れ込みました。
暴行・および強姦
犯人は性器を露出し舐めるように要求しましたが、これを拒否されます。
すると頭部を殴るなどの暴行を行い、児童が泣き出すと首を絞めて気絶させました。
犯人は肛門性交で射精した後、DNA鑑定による犯行発覚を恐れてか、便器のつまりを解消するために使う器具を児童の肛門に入れて精液を吸い取ったため、脱腸するなどして内臓が壊死してしまいました。
また頭部なども教会にひかれている井戸水の水道水で洗ったため、水に含まれる雑菌による視力低下と鼻腔炎、内耳炎を引き起こしました。
犯人は水道水を流しっぱなしにしたまま児童を放置し現場を立ち去っています。
事件後も残り続ける重度の後遺症
結果として、ナヨンちゃんは鼻骨骨折など最小でも全治8週間の怪我と、肛門と膣の80%を失うなどの身体障害を負うことになります。
事件による精神的苦痛だけでなく、永久的な身体機能の喪失は8歳の女の子が耐えるにはあまりにも重すぎるものでしょう。
彼女は現在も両親や周囲のサポートなしでは生活できないほどの障害を背負うことになりました。
犯人のチョ・ドゥスンは前科者だった
チョ・ドゥスンは前科17犯の常習犯で、警察には犯人に関する犯罪データが膨大にあったようです。
1983年には当時19歳の女性に対する強姦致傷罪で懲役3年の刑に服していたという前歴があります。
他にも1996年には当時60歳の男性を殺害したとして傷害致死罪を受けましたが、懲役2年という軽い判決を受けていました。
チョ・ドゥスンは前科17犯を犯している重犯罪者でしたが、「ナヨン事件」までに合計7年4ヶ月しか服役期間がないというのです。
またこの事件で服役した際収監時期が重なる服役者によると、怒りをコントロールできない凶暴な性格で、特に殺人の前科までも自慢するほど、自己顕示欲が強かったそうです。
チョ・ドゥスンへの判決は酒酔減軽で懲役12年
ナヨン事件が問題となった1つの要因に、チョ・ドゥスンの心身微弱が理由による情状酌量が挙げられます。
これほどまでに残虐非道な事件を引き起こしたにもかかわらず、チョ・ドゥスンの刑罰が軽かったことに対し韓国国内で大きな批判の声が上がったのです。
当時の韓国の法律の問題点とは、どのようなものだったのでしょうか。
逮捕後無期懲役を求刑
チョ・ドゥスンは証拠隠滅を図って逃走したものの、過去の犯罪で押収されていた指紋と現場で発見された指紋が一致したため、すぐに逮捕されました。
また犯人の自宅から押収された衣類からは、児童の血痕が確認され、ベッドの下からは犯罪に使うためと思われる凶器が複数押収されました。
2009年1月9日に強姦傷害罪で起訴された犯人に対して、検察側は韓国の最高刑である無期懲役を求刑しました。
「覚えていない」の一言で減刑
韓国では死刑が撤廃されているため、最高刑は無期懲役となります。
しかし、チョ・ドゥスンは「犯行当時は泥酔していて、全く身に覚えがない」と主張し、無罪を訴えました。
裁判の結果、同年3月27日に韓国刑法10条2項の酒酔減軽によって、泥酔状態による心身微弱が情状酌量され、懲役12年、電子足輪7年、身元公開5年の刑を宣告されました。
3月30日にチョ・ドゥスン側は量刑が非常に重いと主張して控訴をしたが、7月24日控訴審が棄却されます。
その後、再び上告したチョ・ドゥスン側でしたが、やはり棄却されたことで最終的に同年9月24日に判決が確定し、チョンソン第二刑務所に独房収監されることになりました。
ナヨン事件の犯人”チョ・ドゥスン”のその後と現在がヤバい!?
チョ・ドゥスンは2020年12月に刑期が満了しました。
しかし、重大な性犯罪者が出所するとなり韓国国内が大パニックとなったのです。
チョ・ドゥスンは今後7年間、電子足輪を着けて担当保護観察官の24時間1対1密着監視を受けることになります。
また、チョ・ドゥスンと妻の居住地出入口が見える場所に防犯哨所を設置し、居住地周辺に防犯カメラ15台も追加設置しました。
安山市は住民らの不安を解消するため、チョ・ドゥスンの居住地周辺30カ所の夜間照明の明るさを上げ、さらに武道実務官を新規採用し、24時間パトロールチームに投じることを表明。
このニュースを報道局やYouTuberは大きく取り上げ、地元住民はもちろん、社会全体から不安の声が上がりました。
出所に伴い起こった暴動や事件のほか、ナヨン事件が発端となった法改正について紹介します。
ナヨン事件をきっかけに児童への性犯罪が厳罰化?
ナヨン事件は当時、そこまで韓国社会で知られていませんでしたが、マスコミが大々的に報じたことから関心が高まり、次第に多くの韓国人が非難の声を上げ始めました。
犯人の人権に配慮して導入された法律を悪用して犯人が心神喪失を装い続ければ減刑されてしまうという問題が指摘され、本当に犯人を生かしておいていいのか、許されるべき罪なのか、社会問題として韓国国内で論議されるようになりました。
結果として、当時の大統領・李明博氏と韓国政府により、児童性犯罪に対する量刑を最大50年まで引き上げし、公訴時効を廃止することが決定されました。
そのほか、
- 19歳以上の性暴行犯罪者に対し薬品投与による科学的去勢を行う法律を策定
- 泥酔状態など心神耗弱の減刑義務を廃止
- 児童保護区域内に設置する防犯・監視システムの強化
といった体制も敷かれました。